南十字に戯れる

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「桑田佳祐のやさしい夜遊び」数字で見る生歌のコーナー1995-2025

TOKYOFM「桑田佳祐やさしい夜遊び」の放送30周年を節目と捉え、このタイミングで過去の「生歌のコーナー」で披露された楽曲について分析を試みます。番組ホームページのデータはヌケモレが多数のため、底データには弊ブログの下記記事を用います。要は"俺調べ"である点をご承知おきください。

集計期間は1995年4月1日-2025年12月27日とし、対象は生歌のコーナーとして披露された楽曲に限り、「今週の8小節」などは含みません。また有観客で催される「生歌ライブ」*1は除いています。

 

 

歌唱曲数と推移

累計歌唱曲数:1,164曲
生歌のコーナーがあった放送回数:840回

単純に放送開始日から起算した土曜日の回数1,603回を母数とすると52.4%≒およそ2週に1回は番組内で何らかの曲が披露された計算になります。母数には放送休止日が含まれるため実際の放送回数はもう少し減ると思われますが、いずれにせよ2025年現在の実感からすると意外な割合に映るかもしれません。

これは歌唱曲数・回数の年次推移を見ると理由が瞭然です。橙が歌唱曲数、青が歌唱回数を示しています。番組がスタートした1995年から30年間の推移をスクロールしていただくと、いずれの数値も漸減していることが分かります。

歌唱曲数(橙)は1995~2014年までは概ね30~60曲の幅で増減を繰り返していますが、2015年以降は如実に減少を示しています。放送回数(青)は曲数ほどではないものの、やはり2015年頃から減少傾向を示し始めており、いずれの数値も2025年が最も小さくなっています。リスナーが薄々感じているであろう「生歌のコーナー、最近少なくない?」に対する回答が数字の上でも示されており、30年間を均した場合の"2週に1回ペース"との実感の乖離を生んでいます。反対に番組開始から10年ほどはほぼ毎週と言って良いペースで披露されており、生歌のコーナーは現在のようにスポット的に差し込まれるものではなく、レギュラーコーナーとして定着していたことが分かります。

 

生歌スペシャルによる影響

生歌のコーナーで披露されるのは通常は1曲ですが、ゲストがいる場合などに複数曲が披露される「生歌スペシャル」回が存在しており、コーナーの放送回数と曲数は必ずしも一致しません。放送1回あたりの曲数が多い順に並べた場合は以下の通り。数値が高いほど生歌スペシャルの割合が大きい年ということになります。

順位 披露曲数 放送回数 曲数/回数
1 2025 10 2 5
2 2010 47 11 4.27
3 2022 21 9 2.33
4 2011 41 20 2.05
5 2015 31 17 1.82
6 2007 49 29 1.69
7 2012 52 31 1.68
8 2013 33 20 1.65
9 2019 28 17 1.65
10 2001 66 41 1.61
11 2006 64 40 1.6
12 2016 27 17 1.59
13 2017 22 15 1.47
14 2009 37 26 1.42
15 2018 38 27 1.41
16 1998 53 38 1.39
17 2020 32 24 1.33
18 1997 53 41 1.29
19 2014 37 29 1.28
20 1996 62 50 1.24
21 1999 54 44 1.23
22 2000 52 44 1.18
23 1995 43 39 1.1
24 2023 16 15 1.07
25 2021 19 18 1.06
26 2004 48 46 1.04
27 2008 26 26 1
28 2005 26 26 1
29 2003 40 40 1
30 2002 30 30 1

2025年は披露曲数がレギュラー回(2曲)に対して公開録音イベント(8曲)での披露が上回るという逆転現象が起きました。2番目に高い2010年は桑田さんの病気療養による番組離脱期間が5ヶ月ほど存在するため回数が少ないものの、オールナイトで行われた特番「桑田佳祐の激しい夜遊び」で披露された36曲が曲数を押し上げており、2つの異常値が交わるこれまた稀有な年でした。反対に2002、03、05、08年は生歌スペシャルが行われなかったため放送回数=披露曲数を示しています。

 

洋楽・邦楽・自名義曲の割合



洋楽32%、邦楽52.1%、自名義曲16%という結果で、邦楽が半数を占めています。番組期間を前期・後期の15年ずつに分けて見てみると、かつて邦楽と同割合であった洋楽が減少し、自名義曲が大幅に増加していることが分かります。*2

 

  1995–2010 2011–2025 全期間
  曲数 割合 曲数 割合 曲数
洋楽 385 48.6% 107 28.8% 492
邦楽 344 43.4% 142 38.2% 486
自名義 63 8.0% 123 33.0% 186
合計 792 100% 372 100% 1164

 

歌唱回数1回-4回の曲

1回:404曲
2回:256曲
3回:183曲
4回:128曲

披露回数が1回に留まる曲よりも複数回披露されている曲が多くを占めている点は生歌のコーナーにおける選曲の大きな特徴と言えるでしょう。

歌唱回数5回の曲

5回目の壁が厚いようで、12曲にまで減少します。歌唱曲は以下の通り。

歌唱曲 アーティスト
Raindrops Keep Fallin' On My Head B.J. Thomas
Blowin' In The Wind Bob Dylan
Wonderful Tonight Eric Clapton
It's Only Love The Beatles
Smile Tony Bennett
悲しくてやりきれない ザ・フォーク・クルセダーズ
慕情 サザンオールスターズ
SEA SIDE WOMAN BLUES サザンオールスターズ
Ya Ya (あの時代を忘れない) サザンオールスターズ
お嫁においで 加山雄三
明日晴れるかな 桑田佳祐
見上げてごらん夜の星を 坂本九

歌唱回数6回の曲

以下の3曲に絞られます。

Love John Lennon
In My Life The Beatles
悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE) 桑田佳祐

歌唱回数7回の曲

こちらもまた3曲が該当します。

明日へのマーチ 桑田佳祐
君といつまでも 加山雄三
希望の轍 サザンオールスターズ

歌唱回数8回の曲

You've Got to Hide Your Love Away The Beatles

『You've Got to Hide Your Love Away』が単独で最多となりました。初披露の1996年7月13日から直近の2023年8月26日まで計8回の披露があり、うち3回は「アコースティック・ビートルズ」「激しい夜遊び」「めでたい夜遊び」の生歌スペシャル回での披露でした。

カバー曲にはThe BeatlesEric ClaptonBob Dylan加山雄三など桑田佳祐への影響が色濃いアーティストが順当に並びます。5回以上披露された洋楽はいずれも「生歌ライブ」で披露された実績がなく、人前で披露する曲と番組企画で歌う曲で異なる選曲傾向が窺えます。

持ち歌では『希望の轍』『明日へのマーチ』が7回を記録しており、サザン・ソロの両名義から2曲が並ぶ結果となりました。2011年リリースの『明日へのマーチ』はおよそ2年に1度という驚異的なペースで披露されていることになります。ギターと歌声のみで構成される生歌のコーナーにおいて、原曲のフォーキーなアレンジとはそもそもの相性が良いのかもしれません。披露された自名義曲は185曲にのぼりますが、半数近い83曲が「生歌スペシャル」での披露となっており、特番ならではのサービス精神の発露と言えましょう。

前回歌唱からの間隔が長い曲

順位 曲名 歌唱日 次の歌唱日 間隔
1 いつでも夢を 1996/1/6 2023/6/10 10017日(27.4年)
2 赤とんぼ 2000/10/7 2025/10/11 9135日(25.0年)
3 Crossroads 1997/2/22 2020/5/9 8477日(23.2年)
4 Johnny B. Goode 1999/2/6 2021/6/5 8155日(22.3年)
5 1999/3/13 2021/2/6 8001日(21.9年)
6 チャコの海岸物語 1996/7/6 2018/5/26 7994日(21.9年)
7 星のフラメンコ 2001/2/10 2022/2/26 7686日(21.1年)
8 Georgia on My Mind 1998/7/11 2019/7/6 7665日(21.0年)
9 涙のキッス 1995/4/15 2016/2/27 7623日(20.9年)
10 Come Together 2000/2/19 2020/7/11 7448日(20.4年)

特に2020年代に入ってからは20年以上もの歳月を経て再び披露される曲が散見されるようになりました。

前回歌唱からの間隔が短い曲

順位 曲名 歌唱日 次の歌唱日 間隔
1 赤い橋 2021/3/13 2021/3/20 7日
2 Raindrops Keep Fallin' On My Head 1999/4/3 1999/6/12 70日
3 ラストダンスは私に 2016/2/13 2016/10/29 259日
4 経験 1997/9/6 1998/5/30 266日
5 Hey! Paula 1995/11/25 1996/8/24 273日
6 月光の聖者達 2011/4/30 2012/3/10 315日
7 夕陽に別れを告げて 2008/8/30 2009/7/25 329日
8 Tears In Heaven 1998/12/12 1999/11/27 350日
9 Something 1996/6/29 1997/7/5 371日
10 君といつまでも 1996/8/3 1997/8/30 392日

『赤い橋』は自身が満足するクオリティでの披露が叶わず、翌週にリベンジとして再度披露される珍しいパターンでした。その他、1年未満の間隔で披露された曲が並びます。

 

今回はデータをもとに大雑把な括りでの集計を試みました。生歌の歴史は番組の歴史であり、30代から60代を駆けた桑田佳祐の音楽遍歴でもあり、読み取れることがたくさんあると思います。次回はライブ・ツアーと選曲の関連を推測・想像・妄想したり、珍しい曲をピックアップするなど楽曲個別に言及する予定です。

*1:「生歌ライブ」は以下

1997.02.22 100回記念「湘南シークレット・ギグ」
1998.02.21 アコースティック・ビートルズ
1999.02.06 夜の営み200回達成記念「抜き差しならぬ関係者御一同様ライブ」
2001.07.21 波乗りジョニーヒット感謝スペシャル!関西コテコテLIVE
2003.04.26 8周年記念スペシャルライブ
2005.04.16 10周年記念ライブ
2007.08.25 去り行く夏を抱きしめて桑田佳祐 夜遊び・出たとこやり逃げライブ!~
2011.06.25 33回目のデビュー記念日に勝手にひとりで生歌スペシャ
2014.07.11・12 夏にサザンないの!?いいかげんに1000回!!ファンやめたるわ!!生歌ライブ
2016.03.26 ライブin女川
2017.07.10・11 この夏、大人の夜遊びin日本で一番垢抜けた場所!!/Billboard Live 10th Anniversary
2019.08.17 真夏の夜の納涼生歌スペシャ
2022.09.03 ひとりROCK IN JAPAN Fes. 生歌スペシャル!!!

*2:集計の都合上「邦楽」区分には番組オリジナルソングや唱歌・童謡・民謡なども含まれており、このあたりも細分化すると面白いかも。