南十字に戯れる

サザンオールスターズ&桑田佳祐ライブデータ・セットリストを収集・公開しています

サザンオールスターズ LIVE TOUR 2025 石川公演 振り返り

※ネタバレ注意

ツアー2日目に参加しました。
いろんな思いが胸に押し寄せては忘却の彼方へ流れてゆく2時間半でしたが、なんとか記憶を引き摺り出して振り返りを図る次第です。2週間も経ってから書き始める方が悪い、はい。

会場の石川県産業展示館4号館は7000人収容。アリーナ以上の規模でしかサザンを見たことがなかった自分にとって、ちょっと大きい体育館のような場所でサザンのステージが繰り広げられている様子が不思議で、夢と現を行ったり来たりしていたように思います。

開演前の妙にテンションの高い影ナレに会場全体が呼応する様子に、ああサザンのライブに来たんだな…という実感が強く喚起されます。ツアーならではの大仰な映像演出で幕を開けるようなことはなく、サポートメンバー→毛ガニさん、ヒロシ、ムクちゃん、原坊→桑田さんの順に登場。固唾を飲んでその瞬間を待ちました。緊張を断ち切ったのはギターでもドラムでもなく、あの、あの声で歌われる"夜毎彼女のtelephone number…"。イントロがなく歌い出しから始まる『逢いたさ見たさ病めるMy Mind』それは例えば祝砲の如き一音で始まる茅ヶ崎ライブの『C調言葉に御用心』のように、曲のタイプは違えど一瞬にして心を掴まれる幕の開き方でした。それにしてもなんと今の心境に入り込んでくる歌詞であることか。逢いたさも見たさも叶わず涙を飲んだ茅ヶ崎ROCK IN JAPAN FESTIVALを経て今ここにいる。病める月日を忘れようはずもない。「開演お待ちどうさん」と同義の出迎え方をされた気分でした。失恋の意を超え、歌詞に自身をオーバーラップさせた人は自分だけではないと思います。そんな狙いが桑田さんの中にあったのかどうか、いつかご本人の口から選曲理由を聞いてみたい。ソロのオールリクエストショーや「やさしい夜遊び」生歌のコーナーで披露されることはありつつも、サザンとしての演奏はTHE 音楽祭-1991-以来ということで、34年という最長ブランクが埋められたのでした。初手から火力が高い。

新曲が聴ける喜びというものをサザンほど強く感じることはなく、「あとどれだけの新曲が聴けるか」つまり「あとどれぐらい現役バンドとしてのサザンが存続し得るか」の切実さがある。ロッキンの上映で耳に馴染んだovertureが始まり、早くも嬉しい気持ちでいっぱいになった『ジャンヌ・ダルクによろしく』。スクリーンに大きく表示されるSOUTHERN ALL  STARSロゴの質感に紅白歌合戦の『時代遅れのRock'n Roll Band』を彷彿とさせられました。熱いステージが始まるよ。そのメッセージさえ受け取ることができればあとはただ身を委ねるのみ。47年目の働くロックバンド・サザンオールスターズの新曲はこんなにもかっこいい。

茅ヶ崎同様に2曲目が終わってからのMC。であればライブ全体の尺も同様と見るべきであろう。そんな予想も立てつつ、ノリノリ佳祐の第一声「こんばんは‼︎(クソデカボイス)」までがロッキンを再現していて脳がバグる。「生まれ故郷の金沢に帰って参りました」「初日は全然盛り上がらなかったんです」の連打を前に、ああそうだ、これ、桑田さんのMCといえば"これ"だったな…と思い出してしみじみと感じ入りました。

年齢を経るごとに滋味を増す曲がサザンにはあって、『せつない胸に風が吹いてた』もその一つだと強く思わされる時間。羽ばたく共が落とした夢の数を同じように数えてきたTHE ALFEEの名前を引き合いに出した直後というタイミングというのも味が出る要素でした。最初のMC明けから新曲ゾーンに入るのがアルバムツアーの通例だったので驚き。かと思えば『愛する女性とのすれ違い』『海』『ラチエン通りのシスター』とメロウなナンバーがこれでもかと立て続く展開にひたすら酩酊。特に『海』は近年の定番曲ながら生で聴く機会に恵まれなかったので嬉しかったです。回収という表現は無機質に過ぎるけど、今回ばかりはようやく対面することができた事実を静かに噛み締めました。吉田治ちゃんさんが奏でる間奏の美メロが最も酔いが回った瞬間。
これアルバムツアーだったよな?の気持ちもそのままに『神の島 遥か国』。この曲は美ら海パイの実〜の部分が自分の中ではサビというか、最もChillになれる好きポイントなのでおそらく周囲とは異なるノリ方をしていた気がします。沖縄への弾丸旅行を経て再び湘南に舞い戻る『愛の言霊〜Spiritual Message〜』はロッキンでのスペーシーな導入とは異なる和風な始まり方だったように記憶していますが、曲自体はあの日披露されたものと同じ最高のアレンジで、大きな高揚感に包まれました。「言葉がマントラのように迫ってくる」とはLOVE PSYCHEDELICO KUMIさんの楽曲評。左右モニターの歌詞テロップと中央の映像演出が相乗効果を生んでいて、本当にそうだよなと思わされることしきりです。

ロッキンのセットリストをスケールアップさせたような流れが続いてきたところで初披露の『桜、ひらり』。良かったちゃんとアルバムツアーだった。今ツアーのテーマソングのようでもあり、今のサザンのモードを象徴するかのような大きな包容力を湛えた曲ですが、ミクロ的には宮城の『明日へのマーチ』『愛しい人へ捧ぐ歌』茅ヶ崎の『歌えニッポンの空』のように、この地で歌われることに大きな意味がある曲でもあり、様々な祈りが交錯する時間のように思われました。巡り来る「時間(とき)」と桜が舞い落ちる刹那が対照的で、『SMILE〜晴れ渡る空のように〜』でも発揮された2つの時間の対比が詩に奥行きを生んでいます。"柳暗花明"は語感的にもこの上なく収まりの良い熟語で、そのままアルバムのキャッチフレーズにできそうな存在感が漂っていました。当面はこの曲を聴くたびに今日のことを思い出すのでしょう。
『神様からの贈り物』は「やさしい夜遊び」でのオンエアを聴いていなかったのでここで初対面。こんにちは‼︎(クソデカボイス)。お歴々への敬意を歌詞にしたためた曲はこれまでにも数多くありましたが、ここまで広範に、直裁的に先達への憧憬を歌った曲は初めてなので驚きました。MCで「"あの頃は良かった"とか言い出したらいよいよおしまい」という主旨の自嘲が桑田さんの口から溢れる一幕も。それにしてもアルバムのキャッチコピー「この歌と出会い あなたがいれば 何も怖くない」がこの曲からの引用だったとは。近年の桑田さんの「歌」や「歌謡」に対する思いを汲めば歌をじっくりと聴かせる序盤の曲の並びも腑に落ちるような気がしました。
『史上最恐のモンスター』は事前のオンエアもなかったため今ツアーで初披露。アルバム制作が順調であればツアーの前にリリースされていた可能性もあったわけで、結果的に誰も知らない曲をライブで聴くことができるという光栄な事態に恵まれたのでした。他アーティストなら頻発するサプライズもサザンでは珍しく、わざわざ未発表曲の披露を喧伝していたふざけるなツアーが思い起こされます。
国際情勢や地球の未来を憂うシリアスなテーマの曲となっており、曲名からはなかなか想像できない方向性の逸品でした。茅ヶ崎やロッキンでは生まれなかったライブの"谷"の部分を担ってくれた印象があります。スクリーンに映される映像も歌詞を反映したダークな内容になっていたため没入感が凄まじく、ライブのハイライトの1つと言って差し支えないほどの濃密な体験でした。さながら奇跡の地球ツアーのようなロックオペラ。大枠では『ピースとハイライト』と近しいテーマを共有しつつも全く異なるアプローチに魅せられます。
そんな瘴気を一掃する『風のタイムマシンにのって』では原坊の清涼感ある歌声が軽やかな曲調と相まって爽快な響き。婦人の肖像ライブにも縁がなかったため彼女の歌声を聴くのはふざけるなツアー以来。ライブ会場に響く原ボイスはそういえばこういうひずみ方をするのだったな…と思い出しつつ海沿いのドライブをお供しました。江ノ島が見えてくるとこのあとに待ち受けるであろう曲への期待もまた膨らむというもの。原坊の写真が幼少期から学生時代までの成長に合わせて順に映し出される粋な導入でしたが、何枚目でその人物が原由子であることに気付けたかでマニア度が測れそうです。この手の演出でよく用いられる初期の5人横並びの写真も映し出されていましたが、このような内輪の空間ですら左側にいるシックスマンがパージされてしまうのがなんとも遣る瀬なし。

MCを挟み着席スタイルで始まる『別れ話は最後に』。サザン版「静かな春の逢瀬」とでも言うべきプリミティブなバンドサウンドをしっとりと聴かせてくれました。この曲はかつて「音楽寅さん」のスタジオライブで披露されたことがありましたが、サザンとしては1980年のゆく年くる年コンサート以来、驚異の45年ぶりのお披露目で久闊を叙することに。つい1時間前の最長ブランク記録を大幅に塗り替える大サービス。初めて生で聴いた観客が大半だったことでしょう。今回のライブからベストテイクを1曲選ぶのであればこの曲を選びます。バンドとしてのサザンを特に好む人間として、そう言い切れるだけの魅力が確かにありました。円熟というには生気に満ちた演奏。センキューソーマッチ。

そんな充足感をリセットするのは聴きたい曲の4択アンケートという見たことのない展開。①『LOVE AFFAIR』②『ミス・ブランニュー・デイ』③『能登半島』④『希望の轍』の中から聴きたい曲に拍手を送る期待通りの出来レース。アコースティックスタイルで聴きたいのは②なので大真面目に手を叩きましたが当然選ばれることはなく、叶わない夢など追いかけるほど野暮。そんなわけでマイク片手に朗々とワンコーラスが歌われた『能登半島』は石川さゆりが去年の紅白歌合戦で披露したことを受けてのカバー。桑田ソロツアーのお互い元気に頑張りましょう‼︎に続くご当地枠の再来になるのか、だとしたら周る土地がほぼほぼ同じだから選曲に厳しさが増すのでは?などと考えつつ、今後の公演での扱いに注目したいところです。
やりたいことはやりきったから仕事に戻るぜという具合で再びアコースティックスタイルに戻り『夕陽に別れを告げて』。アルバム告知ビジュアルの夕焼けともリンクするような選曲です。人前での披露は2008年の真夏の大感謝祭以来ですが、さほどご無沙汰感がないのは無観客ライブや生歌のコーナーで数年おきに聴かせてくれるおかげ。今のサザンには曇天が似合うと思っているのですが、あざといぐらいに焼けた夕空のビビッドなカラーを背負うのも万人への訴求を是とする今のサザンの分かりやすさが分かりやすく出ているなと思いました。
メンバーが半ば車座のような陣形となり始まる『悲しみはブギの彼方に』がこのブロックの主役。未発表曲ながら1982年に放送されたラジオ番組でかつて一度だけ披露されたことがあり、その時の音源が脳に焼き付いている身としては、まさかこんな日が来るとは夢にも思わなかった。制作当時を追求したであろう音とアレンジがまた聴き覚えのあるものなので、新曲なのに聴き馴染みがあるという不思議体験でした。今やすっかり鳴りを顰めたナンセンスな言葉の連なりが心地良く、余計なことを考えることなくバンドのグルーヴに酔いしれることができました。

『ミツコとカンジ』も事前のオンエアを聴いていなかったため初対面。画面に写し出された男女のイラストがなんとも見覚えのある筆致で描かれているせいで『ミス・ブランニュー・デイ』のMVが真っ先に浮かんでしまったものの、紡がれていく男女の物語に胡乱な要素はなく、カンジの局部が蜂に刺されることもなかった。危うく略称がコカンになるところだ。オーソドックスなテーマの曲ながら記名性があるところに新しさを感じます。具体的なモデルと思しき人物がいることは終演後知るところとなりました。
カンジの闘魂(たましい)のRocketが宇宙(おおぞら)へぶち上げられて『夢の宇宙旅行』が始まる。あるいは史上最恐のモンスターが蔓延る地球に嫌気が差した末の逃避行とも。ユニクロのCMに起用されるなど実質的なリードトラックの立ち位置に置かれているのも納得のポップな曲調が気持ち良く、『風のタイムマシンにのって』とはまた違うドライブ感で満たされます。テーマが明解な新曲が並ぶ中でこの曲の歌詞には不思議な読み味があり、歌詞テロップを横目に聴くのが楽しい時間でした。アルバムの発売日がツアー期間中のためテレビ出演があるのかわかりませんが、その時にはぜひこの曲を轟かせてほしいです。”よむサザン”はここにあり。
『ごめんね母さん』で再び場が真面目な顔つきに。曲の並びで緩急を生む中盤のジェットコースターこそライブの醍醐味というものです。ダンサーの配置や振り付けがおいしい葡萄の旅の『01MESSENGER~電子狂の詩~』のようで、曲のテイスト的にも親和性が高いなぁなどと考えつつ、世界観に呑まれる客席の緊張に身を任せていました。ああ、これぞアルバム曲。
またしても空気を一変させる『恋のブギウギナイト』ではDISCO&SOULがステージいっぱいに繰り広げられて大変な賑やかさ。中央に詰めかける高密度のダンサーズに『フリフリ'65』の音楽番組での演出を思い出しつつ、なんというかテレビの収録を観ているような妙な感覚でした。間奏のギターの音に待望感があって好みだけど桑田さんの推しポイントではないことが明かされているので解釈不一致。そのままDJプレイのように次の曲に繋ぐわけにもいかない『LOVE  AFFAIR〜秘密のデート〜』でさらに夜が更けていく。ほぼほぼ年越しライブ以降は煽りコーナーの入口に配置されることが増えました。それにしてもAメロからサビまでずっとPPPHしている客席が異様で、あの鷹揚なメロディやリズムに対する身体の反応がそれなんだ、という感じで面白かったです。

ここ10年ほどでさらに出番が増えた感のある『マチルダBABY』ですがこんなんなんぼあってもいいですからね。会いたい気持ちも感謝の念もSO MUCH。恐ろしいモンスターも史上最恐を見た後なので可愛いもの。この曲だったか、桑田さんお得意の左足キックが飛び出す一幕があり、年齢を感じさせないパフォーマンスが見ている側の気持ちも高めてくれます。爆発音が小さかったのは席の位置によるものかもしれない。ここから『ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)』への連なりは令和でも健在のサザン勝利の方程式。皆と同じそぶりで人差し指をステージに向ける体験も久しぶりで楽しかったです。そこから『マンピーのG★SPOT』に繋がるのはお馴染みのようでもあり外しているようでもあり。恒例のヅラはヘルメット型で、ロッキンバージョンの亜種のような形状。何を模しているのか分かりませんがもはや原型のハゲヅラからは遠く、若干のネタ切れ感に面白さより微笑ましさが勝ちました。何度も生で体験してきたはずの曲でありながら身体がうまく反応できず、サザンは初めてか?肩の力抜けよ、と言われそうな有様でたどたどしく宴に舞うばかり。曲の終わりでTigerさんが音程を上げながらシャウトを連発するのがかっこよかったです。おもむろにスクリーンに映し出された虎の顔は若手スタッフがねじ込んだ「お前の苦労をずっと見てたぞ…」だったのかもしれない。本当によく頑張ったTigerさん。

本編終了後の余韻すらも秒の体感で過ぎ去り『Relay〜杜の詩』が緩み切った場の空気を引き締めてくれる。不発に終わった茅ヶ崎とロッキンを経て、満を持してのお披露目。眼差しが未来に向けられているというだけで強く存在を肯定したくなる曲。そうだね、そうかな、そうはならんやろ、それはそう。様々な感情がありつつ、同じ目線に立たせてくれる点で歌詞への共感が生まれていることは間違いありません。カタログギフトのようなアルバムのラストを飾るのがこの曲で良かったなと思いました。『東京VICTORY』のように会場が一体となってシンガロングするようなことはなかった。それぞれの受け止め方があったはず。
アルバム曲のお披露目が終わり残すはボーナスステージのみ。『希望の轍』のイントロで沸き立つ様に終わりの近さを思わずにはいられない。4択クイズの選択肢がすべて回収されて誰もがほぼ満足、ヒロシも満足。この曲も自分の身体感覚と直結する身振りを見つけられずにいましたが、この"サザンがサザンをやっている"空気の中ではそんなことは些事でした。ああライブが終わってしまう。

最後の大花火『勝手にシンドバッド』でしっかり7000人の期待に答えてくれるのがサービス精神の権化たる今のサザンらしい。この曲が披露されないライブというのは長い歴史の中で決して珍しくはないのですが、不思議なもので今回は絶対にやってくれるだろうという信頼がありました。前回のライブ参加からの6年という月日が最後の最後で埋められていくような感覚もあり、楽しいと嬉しいが同居する時間。最近の傾向からこの曲で締められると踏んでいたので、ここに全部の気力体力を置いていく勢いでコールアンドレスポンスに身を投じました。今何時?まだ早い。終わるにはまだ早い。まだまだ聴きたい曲がたくさんあるけどこれでおしまい。ありがとうございました。放たれた銀テープがひらりと舞い落ちるような席ではありませんでしたが、落ちたテープをスタッフが慌ただしく後方席に届けて回る光景を見るのも現地でしか得られない体験でした。まぁできれば他所のライブのように終演後に各自が貰って帰る流れの方が良かったなぁというのは書き添えておきます。盛り上がりの最中にテープを右から左に流す作業を強いられるのは誰しもの本意ではないと思うので。いやステージそっちのけでテープに向かう人もいるのでそんなこともないのか?………などという余談で振り返りを締めることこそ本意ではないので、最後にセットリストに対する雑感で終わろうと思います。

それやらないんだ→『盆ギリ恋歌』ドームでやってくれることを期待。『歌えニッポンの空』このツアー名である以上この曲に合いの手を入れないことには終われない。『東京VICTORY』『栄光の男』『ロックンロール・スーパーマン~Rock'n Roll Superman~』新曲が押し寄せると皆勤クラスの曲たちにも皺寄せが。2000年代の曲が1曲、2010年代の曲が0曲という結果に。
既存曲が茅ヶ崎〜ロッキンの流れを汲んでいる分珍しい曲の珍しさが際立っていて良かった。『別れ話は最後に』を超えるブランクを埋められる曲は1stツアーでしか披露されていない『レゲエに首ったけ』ぐらいしか見当たらない。なお2曲とも真夏の大感謝祭の候補曲であった。
アルバム曲と既存曲のバランスを思うと2005年のみんなが好きです!ツアーに近いものを感じた。久しぶりの地方巡業となればアルバム色を打ち出すと同時にみんなが好きなサザンを各地に振り撒くことも考慮されるのかも。"あなただけを"ではなく"みんなのうた"のモード。(『みんなのうた』は不発だったけど)
前半のしっとり歌モノコーナーも、激しめの曲が少ないのも、比較的近年に披露実績のある曲が多かったのも、メンバーやサポートメンバーの加齢が影響している気がしており、負荷の少ないやり慣れた曲というのは今後のライブにおいても重要な要素になるのかもしれない。公演時間も決して短くはないけど、かつての長大なライブを思うと凝縮された感はある。そういう意味では見たことのない、知らないサザンを目の当たりにしたライブでもあった。登場やメンバー紹介のパートが短かったのも限られた尺の中で1曲でも多くを届けたい意思と受け止めた。

終演後のこの感覚は今も強く残っている。望む望まざるに関わらずサザンはこれから誰も見たことのない、ビビッドな夕暮れの先の時間へと進んでいく。それでも「今何時?」と問い掛ければ「まだ早い」と返してくれる。現役で居続けてくれることに対するTHANK YOU SO MUCHの念を、丸くなっていくサザンの背中に投げかけたい。それが!マーク2つで足りないことは言うまでもない。